第2次産業就業者比率の都道府県ランキング(2020年国勢調査)福井県は30.9%で全国6位
データで見る福井

データで見る福井: ものづくりで働く人の割合は全国6位

「福井はものづくりの県」「福井は社長が多い」——昔からなんとなく言われてきたことを、公式の統計で確かめてみるシリーズを始めます。第1回は、働く人のうちどれだけが「ものづくり」の現場にいるかという数字です。調べてみると、福井という土地の輪郭がはっきり見えてきました。 働く人の約3割が「ものづくり」— 福井は全国6位 使ったのは国勢調査の「第2次産業就業者比率」という数字です。第2次産業とは製造業と建設業のこと。ざっくり言えば、工場や現場で働く人の割合です。 2020年の国勢調査で、福井は30.9%。全国平均の23.0%を8ポイント近く上回る全国6位です。上位の顔ぶれは富山・静岡・岐阜・滋賀・愛知——名だたる「ものづくり県」ばかりで、福井はその中に並んでいます。働く人のおよそ3人に1人が、ものづくりか建設の現場にいる県。これが数字で見た福井です。 データが2020年なのはなぜ? 産業別の就業データは、5年に一度の国勢調査がいちばん信頼できる出典で、産業別の集計が公表されている最新が2020年調査です。2025年の国勢調査はすでに実施されていますが、産業別の結果は2026年9月以降に順次公表される予定です(総務省統計局の公表スケジュールより)。公表され次第、この記事のグラフも新しいデータで更新します。 全国が下がり続けた25年、福井は下がりきらなかった 推移を見ると、もうひとつ面白いことが分かります。全国の第2次産業就業者比率は1995年の31.6%から2020年の23.0%まで、25年間ずっと下がり続けました。福井も38.1%から下がってはいるのですが、30%台で踏みとどまり、直近の2015年から2020年はわずかに上昇しています(30.7%→30.9%)。 眼鏡、繊維、化学、機械——福井の雇用の柱は、今も現場にあり続けているということです。「ものづくりの県」は過去の話ではなく、現在進行形の数字でした。 「福井は社長が多い」も本当だった もうひとつの有名な話も確かめました。帝国データバンクの調査によると、人口あたりの社長の輩出率で福井県は40年以上連続の全国1位です(帝国データバンク「福井県社長分析調査」)。眼鏡や繊維など、独立資本の会社が多く育ってきた土地柄が背景にあると分析されています。 つまり福井は「現場で働く人が多く、自分の会社を持つ人も多い」県です。小さな会社の経営者が自分の判断でやり方を変えられる——これは、新しい道具を試すうえで実は大きな強みです。 この数字は、福井の会社に何を意味するか 私たちがこの数字から受け取ったのは、「福井では、パソコンの前の業務だけを効率化しても半分しか届かない」ということです。働く人の3割が現場にいるのだから、効果が大きいのは現場まわりのデジタル化です。紙の生産記録、手書きの検査表、FAXでの受発注、図面の探し物——このあたりをひとつ電子化するだけで、事務所と現場の両方が楽になります。 福井DXが「現場目線」の記事を書き続けるのは、この数字が理由です。次回のデータで見る福井は、これも有名な「共働き率」を調べます。 出典 総務省「国勢調査」(政府統計「統計ダッシュボード」経由で取得、2026年7月時点) 帝国データバンク「福井県社長分析調査」

店舗・サービス業のDX

予約・注文・会計、飲食店DXでまず変えたい3つの業務

予約・注文・会計、まず変えるのは1つだけでいい 飲食店のデジタル化(紙や手作業をアプリに置き換えること)で迷ったら、予約・注文・会計を同時にいじらないことです。まずは一番困っている1つだけを選ぶ。忙しい時間帯に新しい操作を覚えるのはそれ自体が負担で、3つ同時に変えれば現場が混乱し、どれも中途半端に終わります。 選ぶ基準は困りごとです。営業中に電話が鳴りやまないなら予約、毎晩のレジ締めに時間を取られているなら会計。効果をすぐ実感できるものから手をつけるのが、続けるコツになります。 予約:営業中に鳴り続ける電話を減らす ランチやディナーの立ち上がりに電話が鳴ると、料理を出す手が止まります。ネット予約(お客様がスマホの画面から席を押さえる仕組み)を入れると、この時間帯の電話が目に見えて減ります。予約サイトのほか、店のホームページやGoogleのお店情報から予約ボタンをつける形でも構いません。 ただし、入れれば電話がゼロになるわけではありません。 ネット予約を入れても電話予約はなくならない前提で選ぶ 年配のお客様や常連さんは電話を使い続けます。だから「ネット予約があるか」ではなく、電話予約とネット予約を1つの台帳にまとめて見られるかで選んでください。ここが分かれていると、同じ席をネットと電話で二重に取る事故が起きます。紙の予約表とネットの画面を別々に見ていて、満席の時間に電話でもう1組入れてしまう——現場で最も多い失敗です。台帳が1つなら、電話を受けた人がその場で空席を見て埋められます。 注文:セルフ注文が向く店・かえって不便になる店 セルフ注文(お客様が席のタブレットや自分のスマホで注文する仕組み)は、どの店にも効くわけではありません。回転が速く注文量の多い店や、追加注文が頻繁な居酒屋タイプでは力を発揮します。逆にコース中心の店や、料理の説明をしながら信頼を築いてきた店では、注文を機械に任せた瞬間に接客の良さが消えます。 セルフ注文が向く店と、かえって不便になる店 福井の車社会なら、幹線道路沿いで家族連れやグループが多い店はセルフ注文と相性がいい。逆に常連との会話が売りの小さなカウンター店では、無理に入れないほうが持ち味を守れます。まずはランチのピークだけ試すなど、時間帯を区切って様子を見るのが現実的です。 会計:締め作業と現金管理に取られる時間を減らす 閉店後、電卓とレジのお金を合わせる作業。ここが一番静かに時間を食っています。タブレットのレジアプリ(会計と売上集計をまとめて行うアプリ)なら、日ごとの売上が自動で集計され、キャッシュレス(現金を使わない支払い)の入金記録も残ります。手書きの売上ノートを翌日に整理し直す手間がなくなります。 導入したら、その日のうちにやることが1つあります。閉店時にアプリが出す当日売上と、レジ箱の現金が合うかを毎日突き合わせてください。ズレる日は、キャッシュレス分を現金と二重に数えているか、返金の打ち間違いです。毎日確認していれば、月末にまとめて原因を探す羽目にはなりません。 導入費用と月々の負担のざっくりした目安 レジアプリ本体は、無料で始められるものから月額制まで幅があります。初期費用の中心は、タブレット本体と、カードや電子マネーを読み取る決済端末の代金。さらにキャッシュレス決済には売上額に応じた手数料(数パーセント程度)がかかり、使い続ける限り発生します。ここを見落として「月額が安いから」と決めると、後で手数料の重さに気づきます。 正確な金額はプランと決済会社で変わります。契約前に「月額」「決済手数料」「入金までの日数」の3つは必ず見積もりで確認してください。数店で相見積もりを取るだけでも、負担感はかなり見えてきます。 3つのうちどれか1つ、今夜の締めや明日の電話を思い浮かべて、一番つらいものから始めてください。

業務効率化

AI電話対応でできること・できないこと、導入判断の目安

AI電話対応とは — 電話に出る仕事のどこを機械に任せられるのか AI電話対応とは、かかってきた電話にコンピューターがまず出て、相手の話を文字に起こしながら受け答えする仕組みです。予約の日時を聞き取る、営業時間を答える、要件を整理して担当者にメモで渡す——電話応対のうち「毎回だいたい同じやりとり」を肩代わりします。 逆に言えば、任せられるのはそこまで。相手の事情をくんで判断する部分は、今も人の仕事として残ります。 自動音声・チャットボットとの違いを一言で 従来の自動音声(「予約は1を、その他は2を押してください」のあれ)は、決まった番号を押させる仕組みです。AI電話対応は、相手が普通に話した言葉を聞き取り、その場で言葉を返します。サイト上で質問に自動応答するチャットボットを、電話の声でやると考えると近い。番号を押さずに済むぶん、高齢のお客様や、片手がふさがった現場からの電話とは相性がいい。 今のAI電話対応でできること・任せると事故ること 線引きははっきりしています。「答えが決まっているか」で分かれると考えてください。 予約受付・営業時間案内など「決まった応答」は得意 営業時間、定休日、場所への行き方、簡単な予約受付。こうした「答えが一つに決まる問い合わせ」を、AIは安定してこなします。昼休みや終業後の電話を取りこぼさず、要件をメモに残してくれるのは、人手の少ない会社には実利があります。折り返しが必要な用件だけ担当者に回す、という使い方が現実的です。 見積もり相談・クレーム・常連との会話は人が必要 ここを機械に任せると事故ります。見積もり相談は、相手の言葉の裏にある条件を引き出す仕事で、決まった答えがありません。クレームはなおさらで、AIが的外れな定型文を返せば火に油を注ぎます。そして福井では、長年の取引先が「いつもの人」を前提に電話してくることが多い。名乗らず用件だけ話す常連に、AIが「お名前をうかがえますか」と返した瞬間、築いてきた関係にひびが入ります。対面で信頼を重ねてきた相手ほど、機械の応対は冷たく響きます。 同じ電話でも、答えが決まっているかで任せ先が変わる 数名〜数十名の会社が導入を判断する目安と費用感 判断の軸は「電話の量」と「取りこぼしの痛さ」の二つ。鳴る回数が少ない会社が月額を払っても、割に合いません。 月々いくらから使えるか、導入して割に合う電話量の目安 費用は幅があり、月額数千円台から始められるサービスもあれば、通話量に応じた従量制もあります。正確な金額はサービスごとに確認してください。割に合うかの目安は、「人が出られず取りこぼしている電話が、毎日それなりにあるか」。日に数件しか鳴らない事務所なら、留守番電話と折り返しで足ります。逆に、一人が電話に取られると現場が止まる会社ほど効果が出ます。 取引先が電話・FAX中心の福井の会社に、編集部がすすめる始め方 福井の会社には、まず「営業時間外だけAIに出させる」から試すのをすすめます。日中の常連からの電話はこれまで通り人が取り、機械が壊しかねない関係に手を触れずに済むからです。取りこぼしていた時間外の一件を拾えれば、それで元が取れます。全部を一気に切り替えると、取引先が紙とFAXで動く商習慣とぶつかり、現場が混乱します。小さく試し、鳴り方を見てから広げてください。

AI活用

kintoneのAI機能でできることとできないことの見分け方

kintone(キントーン)とは — 一言でいうと「自社用の業務アプリを作れる箱」 kintone(キントーン)は、サイボウズが提供する、プログラムを書かずに業務アプリを作れるサービスです。顧客名簿や日報、案件管理など、入力と検索の仕組みを自社向けに組み立てられます。エクセルの表を、社内の全員が同時に使える形に組み替えたもの、と考えるとイメージしやすいでしょう。 最近は「kintoneのAI」という言葉もよく耳にします。ただ、それが何を指すのかは意外とあいまいなまま語られがちです。 「AI機能」と言われているものが、実際は何を指しているのか kintoneまわりのAIは、大きく二つに分かれます。サイボウズ自身が提供するAI機能と、ChatGPTなど外部のAIをつないで使うものです。呼び名は違っても、やることはほぼ同じ。たまったデータを読ませて、要約させたり質問に答えさせたりします。新しい答えを生む魔法ではなく、「すでにある記録を、人の代わりに速く読む道具」と捉えれば判断を外しません。 kintoneのAIで実際に助かること — 顧客リストや日報から答えを引き出す使い方 いちばん効くのは、たまった記録から答えを探す場面です。「あの取引先、前回いつ何を納めたか」を、詳しい担当者に聞かず自分で引き出せる。数名規模の会社ほど、これが地味に大きく効きます。 数名〜数十名の会社で効きやすい具体例:問い合わせ対応と過去記録の検索 電話やFAXで来た問い合わせをその都度kintoneに記録しておけば、次に似た相談が来たとき「去年の同じような案件、どう答えたか」をAIに尋ねられます。ベテランが休みでも、若手が過去の対応をなぞれるわけです。この「誰かに聞かずに済む」が、忙しい現場の段取りを止めない鍵になります。日報も同様で、雪で予定が崩れた日の記録をためておけば、翌シーズンの見積もりや人員配置を考える材料になります。 AIに任せられないことの見分け方 — 「正しさの責任を人が取る仕事」は外せない 境目はシンプルです。間違えたときに誰かが責任を取る仕事は、AIに丸投げできません。 よくある失敗:AIの回答をそのまま見積もりや報告に転記してしまう 典型的な事故は、AIが出した金額や納期を、そのままお客様への見積書に貼ってしまうことです。AIは記録から「それらしい数字」を拾いますが、条件の違う昔の案件を持ってくることがあります。数字は合っているように見えて、前提がずれている。ここを人が確認せずに出すと、後から「言った言わない」になり、対面で築いた信頼が一度で崩れます。AIは下書き係、判子を押すのは人。この順番を崩さないことです。 任せてよいか迷ったときの3つの問いかけ

AI活用

スプレッドシートのGemini関数で何ができるかを整理します

GoogleスプレッドシートのGemini関数とは — 表計算のマスの中でAIに指示を出す仕組み スプレッドシート(ブラウザで使えるGoogleの表計算ソフト)のマスに「=AI(“やってほしいこと”)」と書くと、その場でGoogleのAI・Geminiが文章を作って返す機能です。特別な設定はいらず、計算式を書く感覚で指示できます。 たとえば別のマスの長い問い合わせ文を指して「これを一行に要約して」と頼めば、隣のマスに要約が並びます。表の中で完結する点が、ふつうのAIチャットとの一番の違いです。 ただし万能ではありません。得意なのは文章の処理で、数字の集計ではない。この線引きを取り違えると期待外れになります。 対応しているのはどの環境か(無料のGmailアカウントでは使えない点) 最初のつまずきどころがここです。この機能は法人向け有料サービスのGoogle Workspaceで、かつGeminiが有効な契約でしか動きません。個人の無料Gmailで同じ関数を打っても、エラーが返るだけです。 「試したのに使えない」の大半は、この契約差が原因です。まず自社が有料プランかどうかを確かめてください。 数名の会社でも役立つ具体的な使い道 IT担当がいない会社でも手が届く使い方があります。共通するのは「人が読んで判断していた文章仕事の、下ごしらえだけAIに任せる」という発想です。ゼロから任せるのではなく、たたき台を作らせる道具と考えると外れが減ります。 問い合わせメールや顧客名簿の文章を整理・要約させる 言い回しがばらばらの問い合わせを一覧にし、隣の列で「用件を一文にまとめて」と指示すれば、要点だけが並びます。名簿の備考欄のように、人によって書き方がまちまちな文章をそろえたいときにも向きます。 現場が常に忙しい福井の会社なら、この「読む前の下ごしらえ」を任せるだけで、夕方の事務仕事が軽くなります。 取引先の業種や地域を大量にまとめて分類・タグ付けさせる 会社名や住所の列を指して「所在地は北陸かそれ以外か」「業種を製造・小売・サービスに分けて」と頼めば、数百件でも一気にタグが付きます。手で一件ずつ振り分けていた作業の下書きとして重宝します。 ただし住所から地域を推測する場面では取り違えも起きます。あくまで下書きです。 使う前に知っておきたい注意点 —

AI活用

ChatGPTで情報漏洩は起きる?仕組みと防ぎ方をやさしく解説

ChatGPTから情報が漏れるって本当?まず知っておきたい仕組み 結論から言うと、使い方さえ間違えなければ、ChatGPT(質問を打ち込むと文章で答えてくれる対話型AI)から情報が勝手に外へ流れ出すことはありません。分かれ目は「打ち込んだ内容がAIの学習に使われる」設定になっているかどうか。ここを知らないまま使うのが一番危ない。 警戒すべきはハッカーより、自分たちの入力です。 入力した内容が「学習に使われる」とはどういうことか 運営会社は、利用者が打ち込んだ文章を回答精度の向上に使うことがあります。これが「学習に使われる」の意味です。貼り付けた見積書の中身が他社への回答にそのまま出てくる、という単純な話ではありません。ただし、社外のサーバーに顧客名や金額が残り、人の目に触れる可能性はゼロではない。押さえるべきはこの一点だけで、設定で学習をオフにすれば不安はほぼ消えます。 個人の無料版と会社向けの有料版で扱いが違う 同じChatGPTでも、無料版と業務用の有料プランでは入力内容の扱いがはっきり違います。業務用プランでは、打ち込んだ内容を学習に使わないのが最初から標準です。無料版も設定変更で学習をオフにできますが、放っておけば使われると考えておくほうが安全です。 無料版と業務用プランの扱いの違い 実際に危ないのはどんな使い方か——数名の会社で起きがちな場面 技術的な攻撃より、日々の何気ない操作のほうが危ない。IT担当がいない会社ほど、ここでつまずきます。 見積書や顧客名簿をそのまま貼り付けてしまうケース いちばん多いのが、「この見積書をもっと丁寧な文面に直して」と、取引先名も金額も入ったまま丸ごと貼り付けるパターンです。便利だからつい全部渡したくなる。でも社名と単価がそろって外部に残れば、それは立派な漏洩の入り口です。直したいのは文章の言い回しであって、相手が誰かはAIには関係ない。会社名を「A社」、金額を「◯◯円」と伏せて渡すだけで、リスクはぐっと下がります。慣れれば数秒の手間です。 従業員が自分のスマホで勝手に使い始めるケース もう一つ厄介なのが、会社の知らないうちに現場の若手が自分の携帯で無料版を使い始めている状況です。悪気はなく、むしろ前向きな行動でしょう。ただ会社が把握していないと、何を打ち込んだか誰も分からない。禁止ではなく、「使っていい、ただしこのルールで」と会社側から先に示すのが得策です。 お金をかけずに今日からできる、情報漏洩を防ぐ社内ルール 難しい仕組みは要りません。数名の会社なら、紙一枚と設定変更で八割方は守れます。 「これは入れない」を紙一枚で決めておく 長いマニュアルは誰も読みません。休憩室に貼れる一枚で十分です。入れてはいけないものを、具体的な言葉で並べておく。 取引先の会社名・担当者名 見積金額・原価・仕入れ値

業務効率化

AI-OCRとは何か、紙の書類を仕事でどう使えるか

AI-OCRとは — 紙の文字を読み取ってデータにしてくれる仕組み AI-OCR(エーアイ・オーシーアール)とは、紙に書かれた文字をカメラやスキャナーで読み取り、パソコンで扱えるデータに変える仕組みです。手入力していた見積書や注文書の数字を、写真を撮るだけで表計算ソフトに流し込む――そんな作業を肩代わりしてくれる道具だと考えてください。 紙とFAXがまだ現役の福井の現場にとって、これは「紙をなくす」道具ではなく「紙を打ち直す手間をなくす」道具です。ここを取り違えないことが肝心です。 昔からあるOCRと、何が変わったのか OCR自体は古くからありますが、以前は活字のきれいな帳票しか読めず、崩れた手書きやかすれたFAXは苦手でした。AIがついてからは、書き方のクセや多少の傾き、印刷のかすれを推測で補うようになった。ここが大きな違いです。「絶対に正しく読む」のではなく「人が書いた文字を人に近い感覚で推測する」――そう理解しておくと、後で誤読に慌てずに済みます。 福井の中小企業で、実際にどんな紙が減らせるのか 効果が出やすいのは、毎日・毎週かならず発生する定型の紙です。月に数枚しか来ない書類は、わざわざ導入するほどではありません。 見積書・納品書・FAX注文の入力 取引先から届くFAXの注文書を、担当者が一枚ずつ見て基幹システムや表計算ソフトに打ち込む。そんな会社は少なくありません。AI-OCRなら、商品名・数量・納期といった欄を「ここを読む」とあらかじめ指定しておき、届いた注文書からその欄だけを抜き出せます。数名で回している事務なら、ここが一番の時短になります。 手書きの現場記録や日報 現場で走り書きした作業日報や点検表も対象になります。ただし手書きは活字より誤読が増え、「1」と「7」、「0」と「6」あたりが特に紛れやすい。金額や数量など間違えると困る欄ほど、後述の確認をていねいにする前提で使うのが現実的です。 使い始める前に知っておきたい費用の目安と、選び方の分かれ道 選択肢は大きく二つ。月額で使うクラウド型(インターネット経由のサービス)か、パソコンに入れる買い切りソフトか。どちらが正解かは、社内にIT担当がいるかどうかでほぼ決まります。 月数千円のクラウド型か、買い切りソフトか クラウド型は月数千円から始められ、読み取り精度も自動で改善されていきます。ただし処理枚数が増えると料金も上がるのが一般的です。買い切りソフトは数万円程度からで、毎月の支払いはない代わりに、設定や更新を自分たちで面倒みる必要があります。 クラウド型と買い切り型、どちらが向くか 社内にIT担当がいない会社はどちらが現実的か 設定でつまずいたとき、隣にすぐ聞ける専門家がいない。これが福井の多くの会社の実情です。だからこそ、まずは月数千円のクラウド型で一つの帳票だけ試すことをすすめます。合わなければ翌月やめられ、初期の失敗が数千円で済むからです。少額から堅実に試す進め方は、この土地の経営者の感覚にもなじむはずです。サイトの読み方はこちらの記事もあわせてどうぞ。

製造業のDX

町工場のデジタル化、何から始める?優先順位の付け方

「何からやればいいか分からない」町工場が最初に見る3つの場所 最初にやるべきは、新しい道具選びではありません。「紙とFAXのやり取り」「手書きやExcelの転記」「社長にしか分からない段取り」——この3つのうち、社内で一番時間を奪っているのはどれか。まずそれを見極めることです。ここを外すと、どんなに便利な仕組みを入れても誰も使わずに終わります。 順番を間違えないことが肝心です。 まず「紙とFAXで一番手間がかかっている作業」を書き出す 取引先が紙やFAX中心という現場は、福井の町工場では珍しくありません。ここで大事なのは、FAXを今すぐ廃止することではなく、受け取った後の動きを書き出すことです。「FAXの注文をExcelに打ち直す」「手書きの伝票を夕方まとめて入力する」——こうした二度手間の転記こそ、改善の効果が最も出やすい。紙をなくすより、打ち直しを減らす。この視点で見れば候補は自然に絞れます。 社長一人で抱えている段取り・見積もりから疑う もう一つ見てほしいのが、社長や工場長の頭の中にしかない情報です。見積もりの計算根拠、材料の発注タイミング、得意先ごとの細かな約束事。これが一人に集中していると、その人が休んだ日に現場が止まります。自営業や社長が多い福井では、こうした抱え込みが当たり前になりがちです。頭の中を紙一枚に書き出す。それだけでも立派な第一歩になります。 優先順位は「毎日繰り返す・ミスが多い・人に聞かないと進まない」で決める 候補が出たら、次の3つの物差しで並べ替えます。一つでも強く当てはまる作業から手をつけると、効果を実感しやすくなります。 毎日繰り返す:一日に何度もやる転記や集計。小さな短縮でも積み上がります ミスが多い:数量や品番の打ち間違いが起きやすい作業。手直しの時間も消えます 人に聞かないと進まない:あの人がいないと分からない、が起きている作業 逆に、月に一度あるかないかの作業を最初に選ぶのは避けましょう。手間をかけて仕組みを作っても効果が見えず、結局続きません。 福井の町工場が最初の一歩に選ぶなら——受注・在庫の脱Excel手書きから 最初に着手するなら、受注と在庫の管理を「手書き・Excelの打ち直し」から抜け出すことをすすめます。理由は単純で、ここが毎日繰り返し・ミスが多い・属人化の3つすべてに当てはまりやすいから。共働きで現場が常に忙しい福井では、夕方の入力作業が減る効果が特に大きく出ます。 月数千円から試せる身近な道具の例と費用の目安 いきなり専用の生産管理ソフトを入れる必要はありません。普段使っている道具の延長で十分です。たとえばGoogleスプレッドシート(ネット経由で複数人が同時に使える表計算)なら無料から始められ、事務所と現場で同じ表をリアルタイムに共有できます。もう少し形にしたいなら、入力画面を自作できるkintone(キントーン)のような月額サービスがあります。料金は1人あたり月1,000円〜1,800円(税抜)ですが、契約は10ユーザーからなので、会社としては月1万円台からが目安です。大きな投資より、まず小さく試す。堅実な福井の経営者にはこの形が性に合うはずです。 IT担当がいなくても続けられる「一つだけ」の始め方 社内にIT担当がいない会社ほど、欲張らないことが続けるコツです。最初は「受注表を一つ、全員が同じものを見る」——これだけに絞ります。項目も日付・得意先・品番・数量・納期くらいで十分。列を足すのは運用が回り始めてからでいい。うまくいったかの確認は簡単で、月末に「Excelへの打ち直しが消えたか」を見るだけです。消えていなければ、まだ二重管理が残っている証拠です。 よくある失敗——高機能な仕組みを入れて誰も使わなくなる理由

福井DXをはじめました — このサイトの読み方
事例・コラム

福井DXをはじめました — このサイトの読み方

はじめまして、福井DX編集部です。このサイトは、福井県の中小企業の経営者・担当者の方に向けて、デジタル活用の情報を分かりやすくお届けするために始めました。 このサイトで扱うこと 「DX」というと大げさに聞こえますが、中身は身近な話です。ホームページを作りたい・見直したい、AIを仕事に使ってみたい、紙とエクセルの作業を減らしたい、ネットで商品を売ってみたい、そして使える補助金があるなら知りたい——このサイトでは、そうした一つひとつを扱います。 AI活用 — ChatGPTなどのAIを、ふつうの会社の仕事でどう使うか ウェブ活用 — ホームページやネットショップの作り方・費用の目安 業務効率化 — 紙・電話・エクセル中心の業務を少しずつ楽にする方法 補助金・支援制度 — 福井県内で使えるデジタル関連の補助金や支援策 記事を書くときの約束 3つだけ、お約束します。 1つめ、専門用語には必ず説明を添えます。ITの専門家でなくても読み通せる記事にします。2つめ、費用の話から逃げません。「いくらかかるのか」が一番知りたいことだと分かっているので、分かる範囲で目安を書きます。3つめ、煽りません。「今すぐ導入しないと乗り遅れる」とは言いません。やらなくていいケースも正直に書きます。 詳しくは編集方針をご覧ください。それでは、これからよろしくお願いします。

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