データで見る福井: 合計特殊出生率は全国3位、共働き1位との両立

「福井は子育てしやすい」とよく言われます。県内にいると当たり前のように聞く話ですが、数字で見るとどうなのか。データで見る福井の第3回は出生率です。調べてみると、合計特殊出生率は全国3位。しかも共働き率が全国1位でありながら、この順位という、全国的にも珍しい組み合わせでした。

合計特殊出生率1.45 — 全国3位、東京の1.5倍

合計特殊出生率の都道府県比較。福井1.45で全国3位、全国平均1.23、東京0.96

2025年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの数の推計値)は、福井が1.45で全国3位。1位は沖縄1.52、2位は宮崎1.46で、僅差の3位です。全国平均は1.23、最下位の東京は0.96なので、福井は東京のおよそ1.5倍ということになります。

目を引くのは隣県との差です。北陸3県は生活水準や産業構成が似ていると言われますが、この指標では富山1.31(15位)、石川1.30(16位)と、福井だけが頭ひとつ抜けています。0.15という差は、順位にすると12位ぶんの開きです。

共働きが多い県が、子どもも多いとは限らない

ここからが本題です。第2回で見たとおり、福井は共働き世帯の割合が34.7%で全国1位でした。共働きが多ければ子育ての負担も大きくなり、出生率は下がりそうに思えます。ところが福井は両方とも全国上位です。

これが福井だけの現象なのかを確かめるため、共働き率の上位6県について、それぞれの出生率を並べてみました。

共働き世帯割合の上位6県と合計特殊出生率。福井と島根だけが両方とも全国上位

共働き率が高い6県のうち、出生率も全国上位なのは福井と島根だけでした。山形は共働き率34.4%(2位)と福井にほぼ並びますが、出生率は1.15で41位。新潟も共働き率31.0%(6位)に対し出生率1.13で44位です。

つまり「共働きが多い県では子どもも多い」という関係は成り立っていません。共働き率がほぼ同じでも、出生率は1.13から1.45まで開きます。福井の組み合わせは、共働きが多いことの結果ではなく、別の要因が効いていると考えるほうが自然です。

数字の読み方の注意 — 「子育てしやすい」の証明ではない

ひとつ断っておくと、出生率が高いことは「子育てしやすい」ことの証明ではありません。出生率には未婚率や年齢構成といった別の要因も影響します。この記事で言えるのは「共働きが多く、かつ子どもも多い県である」という事実までで、その理由がどこにあるかは、この2つの数字だけからは分かりません。

それでも、45年間ずっと共働き率が全国平均を10ポイント上回ってきた県で、出生率も全国3位を保っているという組み合わせは、他県で簡単に真似できるものではありません。三世代同居や親族の距離の近さ、通勤時間の短さなど、生活の形そのものが関係している可能性があります。

働く人が家庭も持てる県で、会社ができること

この数字を会社の側から見ると、意味が変わってきます。福井では従業員の多くが共働きで、かつ子育て中である可能性が高いということです。保育園の送り迎え、子どもの急な発熱、学校行事——こうした事情を抱えた人が、他県より多く働いているのが福井の職場です。

だからこそ、時間の融通が効く仕組みの価値が大きくなります。紙の書類を取りに会社へ戻らなくて済む、電話番のために誰かが席にいなくてよい、月末の請求書作業で全員が残業しなくて済む。こうした業務の見直しは、単なる効率化ではなく、働き続けられる職場をつくる話でもあります。

共働き率1位で出生率3位という数字は、福井の会社がすでにその環境を成り立たせてきた証でもあります。人手不足が続くなかで、この条件を保てるかどうかは、そのまま採用と定着に返ってきます。

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