「福井の家は広い」——県外から来た人がまず驚くのがこれです。データで見る福井の第4回は、持ち家の広さ。結論から言うと、持ち家1軒あたりの延べ面積は163.5㎡で全国2位、東京の1.8倍でした。ただし調べてみると意外な事実も2つ出てきました。「持ち家率日本一」のイメージに反して持ち家率は全国7位であること、そしてこの広い家が、働く場所としてはまだほとんど使われていないことです。
持ち家の広さは163.5㎡で全国2位 — 東京の1.8倍

持ち家住宅の1軒あたり延べ面積は、福井が163.5㎡で全国2位。1位は隣の富山(167.5㎡)、3位は山形(159.9㎡)で、日本海側の県が上位に並びます。最下位の東京は90.5㎡なので、福井の持ち家は東京の約1.8倍の広さです。
163.5㎡というと、およそ100畳。二世帯で住んでも、子ども部屋を人数分つくっても、まだ余る広さです。多世代同居が多く、雪国ゆえに屋内で過ごす時間が長い——第2回で見た共働き率全国1位を支える「親と同居できる広い家」という構図が、住宅の統計にもそのまま表れています。
意外にも「持ち家率」は全国7位
「福井は持ち家率日本一」と言われることがありますが、最新の統計では持ち家比率は73.5%で全国7位。1位は秋田(77.1%)で、山形・富山・新潟がそれに続きます。十分に高い数字ですが、日本一ではありません。
ひとつ数字の読み方の注意を。「持ち家率」は世帯数に対する割合なので、進学や就職で単身世帯が増えると数字は下がって見えます。一方「広さ」は持ち家そのものの実測値です。つまり福井の特徴は、「持ち家の多さ」より「一軒一軒の広さ」に表れている——率で7位、広さで2位という組み合わせが、それを物語っています。
広い家は、まだ「働く場所」になっていない

ここからが本題です。これだけ広い家がありながら、福井でテレワークをしている人は働く人の11.4%、全国19位。全国平均の18.9%を下回ります。全国平均といっても実態は東京(39.8%)と神奈川(30.0%)が引き上げた数字なので、地方としては珍しくない水準ですが、それでも9人に1人しかいません。
東京では90㎡の家に仕事机を置く場所を探しながらテレワークが当たり前になり、福井では163㎡の家がほぼ「暮らし専用」のまま——日本で2番目にテレワーク向きの住環境が、まだほとんど使われていないというのが数字の示す現状です。
「家の広さ」は採用の武器になる
このギャップは、見方を変えれば伸びしろです。県内の中小企業にとって具体的に効くのは採用の場面だと考えています。都市部からのUIターン人材に「フルリモートに近い働き方ができて、家は今の2倍の広さ」と言えるかどうか。仕事部屋を確保できる住環境は、都市部の企業には真似のできない条件です。
もちろん製造や店舗のように現場が必要な仕事をリモートにはできません。ただ、見積書の作成、経理、受発注の事務、設計やデザイン——「会社にいなくてもできる仕事」を切り出して在宅でも回るようにしておくことは、雪の日の通勤や子どもの看病といった福井の日常への備えにもなります。広い家という追い風は、すでに全国2位の水準で吹いています。あとは仕事の側をそれに合わせて整えるだけです。
出典
- 総務省「社会生活統計指標-都道府県の指標-」持ち家住宅の延べ面積・持ち家比率(2023年度、住宅・土地統計調査ベース。e-Stat APIで取得、2026年8月時点)
- 総務省「就業構造基本調査」(2022年)男女・年齢・教育・従業上の地位別テレワーク実施状況(有業者。e-Stat APIで取得、2026年8月時点)
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