「福井はものづくりの県」「福井は社長が多い」——昔からなんとなく言われてきたことを、公式の統計で確かめてみるシリーズを始めます。第1回は、働く人のうちどれだけが「ものづくり」の現場にいるかという数字です。調べてみると、福井という土地の輪郭がはっきり見えてきました。
働く人の約3割が「ものづくり」— 福井は全国6位

使ったのは国勢調査の「第2次産業就業者比率」という数字です。第2次産業とは製造業と建設業のこと。ざっくり言えば、工場や現場で働く人の割合です。
2020年の国勢調査で、福井は30.9%。全国平均の23.0%を8ポイント近く上回る全国6位です。上位の顔ぶれは富山・静岡・岐阜・滋賀・愛知——名だたる「ものづくり県」ばかりで、福井はその中に並んでいます。働く人のおよそ3人に1人が、ものづくりか建設の現場にいる県。これが数字で見た福井です。
データが2020年なのはなぜ?
産業別の就業データは、5年に一度の国勢調査がいちばん信頼できる出典で、産業別の集計が公表されている最新が2020年調査です。2025年の国勢調査はすでに実施されていますが、産業別の結果は2026年9月以降に順次公表される予定です(総務省統計局の公表スケジュールより)。公表され次第、この記事のグラフも新しいデータで更新します。
全国が下がり続けた25年、福井は下がりきらなかった

推移を見ると、もうひとつ面白いことが分かります。全国の第2次産業就業者比率は1995年の31.6%から2020年の23.0%まで、25年間ずっと下がり続けました。福井も38.1%から下がってはいるのですが、30%台で踏みとどまり、直近の2015年から2020年はわずかに上昇しています(30.7%→30.9%)。
眼鏡、繊維、化学、機械——福井の雇用の柱は、今も現場にあり続けているということです。「ものづくりの県」は過去の話ではなく、現在進行形の数字でした。
「福井は社長が多い」も本当だった
もうひとつの有名な話も確かめました。帝国データバンクの調査によると、人口あたりの社長の輩出率で福井県は40年以上連続の全国1位です(帝国データバンク「福井県社長分析調査」)。眼鏡や繊維など、独立資本の会社が多く育ってきた土地柄が背景にあると分析されています。
つまり福井は「現場で働く人が多く、自分の会社を持つ人も多い」県です。小さな会社の経営者が自分の判断でやり方を変えられる——これは、新しい道具を試すうえで実は大きな強みです。
この数字は、福井の会社に何を意味するか
私たちがこの数字から受け取ったのは、「福井では、パソコンの前の業務だけを効率化しても半分しか届かない」ということです。働く人の3割が現場にいるのだから、効果が大きいのは現場まわりのデジタル化です。紙の生産記録、手書きの検査表、FAXでの受発注、図面の探し物——このあたりをひとつ電子化するだけで、事務所と現場の両方が楽になります。
福井DXが「現場目線」の記事を書き続けるのは、この数字が理由です。次回のデータで見る福井は、これも有名な「共働き率」を調べます。
出典
- 総務省「国勢調査」(政府統計「統計ダッシュボード」経由で取得、2026年7月時点)
- 帝国データバンク「福井県社長分析調査」


